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2010-01-31(Sun)

ソク読みについての訂正と、漫画の無料公開の話

| ソク読みについての訂正と、漫画の無料公開の話 - 浅倉卓司@blog風味? を含むブックマーク ソク読みについての訂正と、漫画の無料公開の話 - 浅倉卓司@blog風味? のブックマークコメント

 先日電子書籍・出版業界についての私的なメモ帳に対して

b:id:asakura-t あとで コメントできないようなのでここで。配信ではないけどオンデマンド出版で旧作を展開している「コミックパーク」http://www.comicpark.net/ がある。また、小学館は「ソク読み」http://sokuyomi.shogakukan.co.jp/ で課金してる。 2010/01/30

http://b.hatena.ne.jp/asakura-t/20100130#bookmark-18946182

――ってコメントしましたが、1/27からソク読みに講談社と秋田書店が参加するようになってました。ちょっとびっくり。

 集英社や白泉社ではなく講談社や秋田書店が先に参加してるのは「一ツ橋系だけじゃないよ」という(業界内に対する)アピールなんでしょうかね。これでスクエニと角川系が参入すれば(集英社や白泉社はいつでも参入できる状態だと予想されるので)、漫画出版の大部分がカバーされそうではありますが、はてさて。ちょっと気になる展開ではあります。

 それにしても大手出版社はプレスリリース出さんよねぇ。これはちょっとしたニュースで、IT系メディアに取り上げられてもよさそうな気もするのだけれど。


 気になったのは値段設定で、小学館の作品はだいたい290円なんだけど、講談社は300円、秋田書店は420円になってるんですよ。これはどういう戦略の違いなのか気になるところです。

 ちなみに新書判もB6判も同じ値段なので、元がB6判のコミックスなら200円以上安い(小学館と講談社の場合)。180日限定なのを気にする人もいるだろうけれど、読んですぐに新古書店に売るのであればこれでもいいかな? と思えるかもしれません。

 個人的には読み捨てなら200円くらいがいいと思うのですが、ネットの決済手数料の高さを知っていると290円ってのはギリギリの値段なのかもなぁと思っているところです。

(なので、まとめ買いしたら割引してくれればいいのにとは思う)


 あと、ウェブサイトらしく希望書籍を募集とかして欲しいところ。ちょっと読みたい作品があるんだけど、登録されてないので。



 さて。

 先日『デジタルコンテンツをめぐる現状報告』を読むために理想書店のアカウントを作ったのでメルマガを貰う事にしたのだけれど、そしたら「電撃大王GENESIS」が無料公開が始まったっていうメールが来たんですな。やっぱりマイナー誌は無料で公開する流れなのかなぁとか思いつつ、あんまり話題になってないっぽいので大丈夫かなー、とも思うわけですよ。

 ちなみに一時期プレスリリースを連発して話題になってた「モーニング・ツー」もこちら(ボイジャー)での公開だったりしますが……どれくらい読者がいるのか気になるところ。


 僕は少年サンデー編集部でやってるクラブサンデーを公開時からずっと読んでるのですが、こちらは毎週火曜・金曜に数本の連載と読切を公開する形になってます。

 「少年サンデー超増刊号」の掲載作品も全て無料で公開されているのですが、前出の「電撃大王GENESIS」や「モーニング・ツー」と違って一気に公開せず、毎回数作品のみの公開になっています。

 1年近く読んでて思ったのですが、

  • 一度に公開される作品が5作品程度なので、全部読んでみようと思える
  • 週2回公開というペースは多すぎず少なすぎずで、案外いい

――というあたりが他の類似サイトよりもいい。

 他にも漫画を無料で公開しているサイトがいくつかあるはずですが、月に数回の更新だと見にいくのを忘れちゃうんですよね。。。

(なので、上記のようなサイトがあるなら教えて欲しいところ。今は見なくなったサイトも、ひょっとしたら公開方法を変えてるかもしれないし)

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2010-01-29(Fri)

日本向け電子ブック端末に必要な機能

|  日本向け電子ブック端末に必要な機能 - 浅倉卓司@blog風味? を含むブックマーク  日本向け電子ブック端末に必要な機能 - 浅倉卓司@blog風味? のブックマークコメント

 あるいは個人的に買いたいと思う電子ブック端末の要件。


横長(ランドスケープ)で使いやすいこと

 漫画は見開きで構成されている云々という話はあちこちで何度も書かれているので繰り返さないけど、漫画用の端末としては横長でないと使いものにならない。

 また、縦書きの文章の時も横長のほうがベターです。縦長だと1行の文字数が多くなって読みにくくなってしまいますから。

(2段組なら読みやすいとは思うけれど、電子ブックが段組で作られてるのか分からないし、自動組版で段組ができるのかも分からないので*1


大きさはB5判くらい

 これも漫画(一般的な単行本の大きさ)基準――というだけじゃなくて。

 A5判だと見開きで文庫サイズなのだけど、解像度的に読みにくくなりそうな予感がしてる*2。かといってA4判はさすがに大きすぎる。

 ――となると必然的にB5判が基準になるわけですよ*3

 とはいえB5だとやっぱりちょっと大きいので、折り畳んでB6になるのがベストなんですが、まあ無理だろうなぁ。。。


反射型表示デバイスで高精細(高dpi)であること

 反射型デバイスであれば電子ペーパーでも反射型液晶でもいいですけどね。消費電力の兼ね合いで電子ペーパーなんだろうとは思いますが。

 漢字やルビを考えると解像度は180dpi~200dpiくらいは欲しい。中間階調が使えるのであれば120dpiくらいでもなんとかなるのかな……。

(個人的には120dpiでは足りないと予想してるのだけれど)


できれば実現して欲しいもの:乾電池駆動である

 電池の残量を気にしたり端末を充電しなくちゃいけないのは面倒だから。読みたいときに電池切れだとイヤじゃないですか。

 乾電池駆動ならすぐに交換できるのでいいんですよ。充電式の電池を使ってるときに残量がなくなっても、乾電池に交換すればいいですし(そして乾電池で使っている間に充電できる)。乾電池の入手は容易ですしね。


 とはいえ、動作時間が極端に短いようだと困ってしまいます。連続動作時間(普通に読書してる時間)で15~20時間くらい、未利用時で1300~1800時間(55~75日)くらいにはできないかな*4

 無線機能を使ったときだけ極端に動作時間が短くなっても問題ないので*5、できれば是非とも乾電池駆動にして欲しいです。


あれば便利そうなもの:無線機能

 必須だとは思いませんが、無線機能が付いていると端末で完結できるので良いような気はします。


 ネットの閲覧とかはいらないけれど、端末から直接購入できるようにするにはウェブブラウザ(に相当するもの)が必須になるんだろうな。専用ツールだと不便そうだし。(いや、囲い込むならそれでもいいのか)

 直接購入できるのが重要かどうかは分からないけれど――いや、端末で直接購入できると販売数は増えそうな気がするので、無線機能は付けてくるか。

 DRMの認証にネットを使うのであれば必須になるだろうし。


おまけ:絶対にいらない機能

  • ページめくりのアニメーション

*1:そもそも自動組版機能が付くのか? って気もする。

*2:文庫サイズで漫画を読むのはあまり好きじゃないってこともあるけれどさ。

*3:確かKindle DXがこれくらいだった気がする。

*4:ポメラ準拠だとこれくらい。ちなみにポメラは電源オフ時に410~500日くらい持つらしいけど、さすがにそこまでは求めない。

*5:例えば無線を有効にしていると2~3時間くらいしか使えない、とか。

2010-01-25(Mon)

電子ブックに興味があるなら『デジタルコンテンツをめぐる現状報告』くらいは読んでおこう。

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 遅ればせながら『デジタルコンテンツをめぐる現状報告*1を読んだ。僕がだらだら書いていたようなことはきっちりと書かれていたし(そりゃそうだ)、外側からでは分からない事もいろいろ書かれている。

 28日までは無料キャンペーンをやっているそうなので、興味のある方は是非どうぞ*2

 無料キャンペーンをしているのに20日時点で300ダウンロード程度なところが現状の電子ブックの限界かなー、なんて思ったりもします。


 内容についてはあとで書きたいとは思ってるんだけど、ビュワーがWindows2000で使えないのでちゃんとは書けないのが残念*3

 そうそう、ビュワーの組版がイマイチなんだよね。文字サイズや縦横の切り替え、ウィンドウサイズに合わせたレンダリングとかができるのはいいとは思うんだけど。iPhone版はどうなってるんだろ?


追記(2010-01-28)

b:id:otsune id:asakura-tさん。pot出版のそれ読もうとしてT-Timeインストールしようとダウンロードして開いたら、いまどきRossetaを要求されたので諦めた。Mac 10.6環境サポート貧弱すぎ

http://b.hatena.ne.jp/otsune/20100127#bookmark-18838067

 確かに。というか、現状の電子ブックの懸念はフォーマット(再生環境)なわけで……。

 今のとこ再生可能性が高いのはPDFですが、(以前にも触れましたが)PDFでは自動組版は期待できないですしね*4。かといって他のフォーマットで日本人が満足できる組版ができるのかは微妙みたいですし。


 そういった点でも紙媒体のほうが圧倒的に優位なんですよね。あと10年くらいはどうにもならないんじゃないのかなぁ。

*1紙媒体もある。

*2:取材が足りてないように思われる本田雅一さんや元麻布春男さんには特にお薦めします。

*3:うろ覚えで適当に書こうかと思ってる。

*4:漫画ならPDFはアリだけど。カネになるコンテンツである漫画をPDFで配布とかはしないだろうなぁ。

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2010-01-19(Tue)

電子ブック端末を買うのは誰だろう?

|  電子ブック端末を買うのは誰だろう? - 浅倉卓司@blog風味? を含むブックマーク  電子ブック端末を買うのは誰だろう? - 浅倉卓司@blog風味? のブックマークコメント

 電子ブック端末は一定数の需要がある――例えばポメラと同じくらい――とは思うのだけれど、ネット世間で騒がれているほど日本で売れるのか、どうもよく分からない。

 アメリカで売れてるらしいって記事はみかけるけど、どんな層にどういう風に売れてるのか書かれてるのを読んだことないしね*1


 そもそもアメリカで売れてるのは出版流通事情が日本より悪いらしいとか、Amazonが電子ブックをダンピングしてるからじゃないかって気がしてますし。

 Wikipediaによると*2アメリカの書籍は一般に27ドル程度らしい――値引きがあると思うので実際には22ドルくらいなのかな? Kindleが260ドルであれば、書籍12冊程度の価格ってことだ。しかもAmazonは10ドルでダンピングしてたから、20冊くらい買えば元は取れる計算になる。

 それに対して日本の書籍は800円程度らしいので*3、キンドルが24,000円であれば30冊分に相当する。仮にAmazonが半額(400円)でダンピングしたとして、元を取るには60冊買う必要がある――というくらいアメリカと日本では前提が違っているのに、どうも無視されてる気がするんですよ。


 そんなわけで、日本で電子ブック端末を買うのがどんな人なのか想像してみた。


新しいガジェットならなんでも買う人

 新しもの好きは買うよね、きっと。今回は「流行ってる感」が今までよりあるし。

 でも電子ブックは最初に数冊適当に買って、その後は放置になりそうな気がする。


蔵書をため込むのが好きなコレクターで、置き場がなくなった人

 こういうタイプの人が欲しがっているのは分かる*4。ずいぶん前から本を解体して電子化してる人も知ってるし。


 この手の人が求めてるコンテンツ(電子書籍)は「全集」みたいなものじゃないかな。コレクターだし。

 漫画は巻数が多かったりするので、シリーズものはセットで販売されるとありがたいですね。

(ちなみに、買い直すのは障害にならないと思います。愛蔵版とか文庫版を買ってる人は、以前の単行本を買ってた人も多いでしょ?)


 コレクターとして気になるのは端末の快適さでしょうか。昔の電子ブック端末は快適じゃなかったし。

 その点で現在の端末の動作パフォーマンスはよくなってそうな気はするけど、解像度(dpi)の面が気になるところ。

 また、縦書き・ルビ・外字がちゃんと表示できるのかも気になりますね*5

 PDFみたいなフォーマットなら表示できそうな気がしますけど、その場合はフォントの拡大とかは調子が悪そうな予感がします*6


 あと、日本向けには漫画を見開きで表示できるのが必須でしょう。その辺がどうなるのかは気になるところです。


絶版書籍の入手を希望してる人

 要するに「売れない本が欲しい」という希望ですから、単価は高くなっても買います……よね?

(どうもそのへんが分からない)

 単価が多少高くなっても売れるんなら電子ブックとして再刊されていくと思うので、マイナー本を希望する人は値段を気にせずどんどん買っていきましょう。売れることが分かれば復刊ドットコムも活動しやすくなるでしょうし。


 ――あれ、でもこれは別に電子ブック端末がなくても、ダウンロード販売さえしてればいいはずだよね。あるいはオンデマンド出版でもいいはず。

 そもそも絶版書籍の入手を希望してる人たちは既存のダウンロード販売についてはどう思ってるんだろう。今は「希望する書籍がないよ!」ってだけで、希望する本がダウンロード販売していれば端末がなくてもちゃんと買うんだろうか。


書籍の値段が安くなるのを期待してる人

 そんな人が2~3万円もする電子ブック端末を買うとはあまり思えませんし、元を取るのに相当の冊数*7を買う必要があるので、安価な書籍を望んでいる人が電子ブック端末を買うような気はあまりしてません。


 ……あ、いちおう出版社も読者も納得するかもしれない「安価で売る」アイデアはあるんですよ。漫画雑誌のケースですけど。

 1年契約で紙媒体の半額、ただし読めるのは2~3ヶ月――という形で配信するのはアリなんじゃないですかね? 500円の月刊誌なら3000円/年くらいで。

 漫画雑誌は基本読み捨てですし、バックナンバーをひっくり返すくらいなら単行本買いますし。僕は上記の条件なら定期購読すると思います。

 出版社としても漫画雑誌そのものは利益が出てない――というか印刷費のことや年間購読してもらえることを考えると半額でも充分ペイできる可能性はあるんじゃないかな? 的な。


 とはいえ、これで端末の元をとるには8~10誌くらいの漫画雑誌を買ってる必要があるのですけれど*8。3万部以下のマイナー誌ならやってもいいんじゃないのかなー、みたいな*9

 あとは漫画が読みやすい電子ブック端末が出てくれるかどうか、ですけどね……。


追記(2010-01-28)

b:id:mohno 浅倉卓司, 書籍, 電子出版, Kindle これだと「ガジェット好き」以外はパソコン用の電子書籍が解決するので、「書籍をまとめて(仮想的に)持ち歩きたい人」向けだと思う。

http://b.hatena.ne.jp/mohno/20100125#bookmark-18687966

 あ……確かに「ガジェット好き」以外は「電子ブックを買う人」であって「電子ブック端末を買う人」になってないですね。

 というわけで以下2つを追加します。

(ちなみに、以下の理由によりiPadは「電子ブック端末」としてはイマイチだと思っています*10。もちろん、ケータイ等で電子ブックを読む人がいるように、iPadで読む人もいるでしょうけれど)


発光型端末で読みたくない(反射型端末で読みたい)人

 PCやケータイなどで読みたくない理由の1つに「発光型なので長時間見ていると疲れる」ってのがあると思います。少なくとも僕はそうです*11

 昔はあまり気にしてなかったんですが、ポメラを使ってて「反射型液晶いいなー」と思ったんですよ。文章をずっと見続けても疲れないので、PCで長文を打つより快適だったりしますし。

 たまに「ポメラをドキュメントリーダーとして使いたい」って意見を見かけるのですが、その意見はよく分かります。


 なので、ちゃんと(長時間)読む時は反射型端末のほうが快適だから、反射型である電子ペーパーを使った電子ブック端末で読みたいと思ってる人はそれなりにいるような気がします。

 最近は発光型デバイスばかりで反射型のよさを知ってる人は少ない気がするので、反射型を見る機会が増えればこう思う人は増えるかもしれません。


バッテリー残量を気にしたくない人

 これもポメラを使っていて気付いた点ですが、バッテリー残量をほぼ気にしなくていいのはとても快適です。そもそも紙媒体はバッテリーなんて気にしなくていいですしね。


 PCやケータイだとちゃんと充電してないといけないのが面倒なんですよ。その点ポメラは充電のことを気にしなくていいので気楽に使えます。

 これはやっぱり乾電池で使えるってのが大きくて、普段は充電池(エネループ)を使っているのですが、スペアの乾電池を持っていれば(あるいはコンビニで買えば)充電池が切れた時にすぐに交換できるのがいいのです。乾電池で使ってる間に、どこかで充電すればいいですしね*12

 この点ではKindle(およびDX)もイマイチな気がしています。

*1:ずっと気になってるので是非とも教えて欲しいところ。そもそもAmazonが色々公開しないのはなんでよ? とも思うし。

*2:この記述が信用できるとして。

*3ここによると客単価が800円とのことなので、冊単価はもっと低い気はする。冊単価を下げてるのは漫画だろうけど。

*4:僕もコレクター気質があるから。とはいえ最近は岡田斗司夫の言うとおり「溜めてもしょーがない」って気がしてますが。

*5:青空文庫フォーマットを縦書きルビ付きで表示できるくらいにはちゃんとレンダリングして欲しいものです。

*6:PDFはルーペ的な拡大はできても、文字を大きくして組み直しはできないと思うから。

*7:上記の試算では60冊くらい。

*8:1年で元を取る計算で。……昔はそれくらい買ってた気がする。

*9:今は5誌くらい買ってるので、それらが全部上記みたいな売り方をしたら電子ブック端末買って契約するような気はする――カラーページがかなり残念になりそうだけど。

*10:これについては本田さんも指摘してました

*11本田雅一さんもそうらしいですね。

*12:電池の持ちを考えると、乾電池のみで使ってもいいかもしれないくらいです。

こめおこめお2010/01/22 16:41こんなのはありましたけど。
「電子書籍端末「キンドル」のユーザー,大半が中高年者なのか」
http://zen.seesaa.net/article/119827487.html

asakura-tasakura-t2010/01/22 16:58 おお。ありがとうございます。

 日本でも中高年が多くなりそうですよね。であれば、やはり安価なものを売るよりは、全集みたいなものを売ったほうがいいような気がします。
 また、自動組版で文字の大きさを変えてもきちんとした表示になる機能が重要になりそうです。この点では日本製に期待したいところ。
(海外製品でちゃんと日本語組版が出来るような気があまりしないので……。日本のAdobeと提携したとかならともかく)

こめおこめお2010/01/22 18:21追加で…
青空文庫の縦書きルビ付きならここに写真付きで載ってますよ。

「Kindleで「青空文庫」を読もう サポーターが自動変換サービスを公開」
http://wiredvision.jp/blog/gadgetlab/200912/20091208235011.html

kindle向けアプリの開発環境も公開予定なので
日本語表示やフォントに関しては今後に期待したいところですね。
kindleに対抗するEPUB形式リーダーの方もオープン性を生かしてこの辺は進んでいくんでしょうか。
EPUB形式ではsony readerが日本語表示できるそうですが…

エントリの趣旨に関係ないことをだらだらと書きこんでしまってすみません。

asakura-tasakura-t2010/01/22 19:28 そちらは「青空文庫をKindle向けPDFにする」ものですよね。PDFであれば表示できるであろうことは本文中でも書いたとおりです。

 PDFだと組み直しができないと思いますので(違うのかな?)、読んでる途中で「これもうちょっと大きい文字で読みたいなぁ」と思ったときに対応できないと思うんですよ。「自動組版で文字の大きさを変えてもきちんとした表示になる機能」というのは、そういうことができるものを指しています。

2010-01-15(Fri)

電子ブックで誤解されてそうなこと

| 電子ブックで誤解されてそうなこと - 浅倉卓司@blog風味? を含むブックマーク 電子ブックで誤解されてそうなこと - 浅倉卓司@blog風味? のブックマークコメント

電子ブックは売れる――なんて、配信元は思ってないみたい。

 ――って話を書いてたら長くなった。いちおう簡単に書くと「配信元が沢山取り分を求めてるのは、売れないと思ってるからでしょ」って話。

 数が売れないんだったら販売価格を上げるしかないよね、ってのが僕の意見です。


 それにしても「出版社は在庫コストがなくなるんだから、云々」って言う人は多いのに、「配信元は物流コストがなくなるんだから、云々」と言う人が少ないのは不思議。

 たまに思うのは「電子ブック端末の販売台数をどれくらいと予想してるんだろ」ってこと。端末が100万台売れても電子ブックそのものの売れ行きは紙媒体と比べものにならないくらい少ないと思うんだけどね。


在庫リスクがなくなる――けど、制作リスクはなくらならいよ。

 「電子ブックになれば在庫コストがなくなる」のは確かなんだけど、制作リスクはなくならないよね。

 この制作リスクには新人(新作)が売れない時のリスクも含まれてます。出版社は主にここに投資してるわけで、新人(新作)を発掘しない出版社は叩かれても仕方ないけどね。

 現状では投資に対するリターンが減ってて、旧作でなんとかしのいでいる感じなのが大変残念ではあります。


 既存の出版社の効率が悪いって部分もあるとは思うので電子書籍出版を立ち上げるべきでしょうけれど、投資に対するリターンの減少や、安定収入を得られる旧作がなかったりすることを考えると、既存の出版社よりあんまり有利でないのかもしれません。

 ともあれ、新人(新作)を発掘するリスクをとってるのは出版社だってことを忘れちゃいけないと思うよ。


 他にも出版社は「信用の提供」という重要な役割があるわけですけどね。この点を軽視してる人が多そうに見えるけど。


これからは個人出版の時代だ――っていうなら、今までだって個人出版の時代でしたよ。

 個人出版したいなら、現状だってできるわけですよ。紙媒体ならとらのあなメロンブックスをはじめとした同人書店で取り扱ってくれますし*1。あるいはDLsite電子書店パピレスをはじめとしたダウンロード販売サイトもあるわけです。

(「同人書店ではエロマンガしか扱ってないんでしょ?」という誤解もありますが、実際には「書体の研究」みたいな本も扱ってます)

 これらの卸値はだいたい販売価格の7割です。Amazonなんかで売るよりはこっちのほうが利益率はいいんですよ。

 そして「出版社じゃ扱ってくれない」と思ったネタを同人誌として出版してる人は今でも結構沢山います。


 作家が自分で作品を流通させるなんてのは、同人流通以外でもやってる人はいますしね。なぜか佐藤秀峰の件ばかり取り上げられますが、小池一夫は以前から出版社(小池書院)をやってたりしますし。

 それをやる人が少ないのは面倒だからでしょう。面倒な部分を全部引き受けてくれるのが出版社だって分かっていて、原稿を書くことに専念したいと思う著者やライターが多いんじゃないのかな。


 ――というわけで、個人出版をしたいなら今までだって十分にできてるんです。「同人流通がダメでAmazonならいい」って主張があるのだとすれば、それはただの権威主義でしょう*2


オンデマンド出版や絶版の再刊は今でもやってるよ。そういうところが電子ブックを出す事に期待しようよ。

 電子ブックに近いのはオンデマンド出版だと思うので、それをやってる会社に期待するのはいいんじゃないのかな。

 例えば漫画に関してはコミックパークがオンデマンド出版をしてますので、そこが電子ブックに参入するのは違和感ないよね。逆にコミックパークが出版社のせいで電子ブックに参入できないなら、そのときは出版社を叩いてもいいんじゃないかな*3


 絶版の再刊行については復刊ドットコムが精力的にやってますが、こちらも電子ブックに参入するんじゃないでしょうか。

 極小部数しか見込めない作品は価格設定を高くする必要がありますし、それなら電子ブックでも採算が見込める可能性が高いと思いますので。もしかすると紙媒体は初版限定、なんて可能性もあるかもね。

*1:通販もしてるから全国に販売できます。

*2GoogleとかAppleとかAmazonとか舶来の権威に弱い人が多いなー、とは思う。

*3主要株主を見るとやらない理由はないと思うけど。

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2010-01-14(Thu)

電子ブックの配信は紙媒体よりコストが高い、という話

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(2010-01-20追記:Amazonが売り上げの7割を要求しているのは本田さんの誤報との事でしたので、修正しておきます*1。論旨そのものは変わりません)


 電子ブックになれば物流がなくなってコスト削減になるはずの配信元が5割とか7割を主張するのはおかしな話だよね? 既存の(紙媒体の)流通は3割でなんとかなってるんだからさ。何故かツッコんでる人見かけないけど。

 電子ブックの配信元がそれ以上を要求してるってことは、要するに電子ブックは既存流通に対してコスト競争力がないってことじゃないかな。


 以前の試算にあわせて1000円の本が3000部売れた場合、

  • 書店+取次(3割、300円) 90万円
  • 出版社+著者(7割、700円) 210万円

――になりますし、同じ内容の電子ブックが700円だとすると

  • 配信元(3割、210円) 63万円
  • 出版社+著者(7割、490円) 147万円

――になるのですが、どうやらこれでは配信元は不服だということです。

 配信元の取り分を5割とか7割にして欲しいってことは、

  • 配信元(5割、350円) 105万円

あるいは

  • 配信元(7割、490円) 147万円

――を望んでるわけです。

 これだと紙媒体の流通のほうがずっと流通コストが安くて、「電子ブックなら紙媒体より安くなる」という前提がおかしいんじゃないの? という気がしますね。

 出版社に「在庫コストなくなるじゃん!」と言うんであれば、物流がないはずの電子ブックの配信がこんなに高いのはおかしい気がします。少なくとも出版社にだけ文句を言うのはおかしいでしょ?


 とりあえず、電子ブックの配信コストは紙媒体の流通で3000部販売した場合の1/5で済むと仮定してみましょう。上記の例だと18万円ですね。そして配信は売れても売れなくても、かかる費用はほとんど変わらないはず*2

 そこで18万円を稼ぐのに必要な販売部数を計算すると、

  • 配信元(5割、350円) 515部
  • 配信元(7割、490円) 368部
  • (参考)配信元(3割、210円) 858部

――になります。つまり配信元はせいぜいこれくらいしか売れないと判断してるわけです。

 要するに紙媒体の流通で3000部売れる本が、電子ブックでは1/6~1/10くらいの販売部数になると「流通元が」判断してるってことでしょう。1/4を超えるとは考えていないみたいです。

(なお、配信元が1作品を売るのに固定的にかかるコストが18万円より安いのであれば、もっと売れないと判断してるってことになります)


 「電子ブックが売れない」と判断している一番の理由は「表示端末が必要なこと」でしょう。だって紙媒体なら表示端末が必要ないのですから。

 ここが音楽や映像メディアと違うところです。音楽や映像は再生機器が別途必要ですが、紙媒体は再生機器とセット販売されてるようなもので、特別な機器は必要ないという特性があります*3

 表示端末を持ってる人の数より、紙媒体を読める人のほうが絶対に多いわけですよ。さらに言えば「電子ブックでなくちゃ」なんて思っていて、わざわざお金を出して端末を買う人の数は相当に少ないわけです。

 とはいえ、電子ブック端末を買うような人は書籍を沢山買っている人だろうから、ある程度の販売数は見込めると思います。だからこそ紙媒体の1/6とか1/10を見込んでいるのでしょう。


 というわけで、電子ブックは販売部数が見込めません。部数が見込めない本を売る時は単価を上げることを考えます*4

 ここで電子ブックの販売価格を3000円としてみましょう。

 その場合は

  • 配信元(3割、900円)
  • 出版社(7割、2100円)
    • うち、著者印税(14%とした場合、420円)

――になり、この場合配信元は200部売れればさきほど仮定した配信コスト18万円の売上を達成できます。素晴らしいですね。

 この時の著作印税は8.4万円で出版社に入るのは33.6万円ですからあまり嬉しくないでしょうけれど。


 3000円の本なんて売れない――なんて思う人もいるかもしれませんが、技術書なんかは紙媒体の定価が高いですから、いけるんじゃないでしょうかね?

 あるいは以前に書いたように全集やシリーズ物をまとめたものなら相応の価格で売れると思います。

 そもそも電子ブック端末という高価な再生機器を買ってる人を相手に売るのだから、安いものを大量に売るより高価で価値のあるモノを売ったほうがいいでしょう*5


 とはいえ、上記の例とだとバランスが悪いので、

  • 配信元(1割+登録費10万円)
  • 出版社(9割-登録費10万円)
    • うち、著者印税(2割)

――みたいな感じで、配信元は固定費をとって割合は減らしたほうがいい気がしてます。

 この条件で300部と500部売れた時はそれぞれ

  • 配信元 19万円→25万円
  • 出版社 53万円→95万円
  • 著者印税 18万円→30万円

――になりますから、それなりにリスクにあった配分になりそうですしね。


 いずれにしても電子ブックは安価で売る事を考えないほうが成功すると思うよ。安価で売るには数を売らなくちゃいけなくて、電子ブックは数がでないことが分かってるんだからさ。

(以前失敗したのも安価で売ろうとしたせいだと思うしね)

 あと、出版社は紙媒体のものをそのまま電子ブックにするなんていう手抜きはしないほうがいいと思うよ。前にも書いたけど電子ブック向けに再編集したものを売ろうね。そうすりゃ勘違いする人も減るんだからさ。おねがい。


蛇足

 現在の紙媒体の優位性は「売れてるから」であって、紙媒体が売れなくなってくると電子ブックとの価格差が縮まってくるでしょう――それは「電子ブックが安価になる」からではなく、「紙媒体の値上げ」という形で。

 ともあれ、現在より本(電子ブックも紙媒体も)の価格が安くなるような気はあまりしてません。

*1:それはそれとして、現状でもダウンロード販売は再版とは関係ないのだけれど。何と戦ってるんでしょ?

*2:そこが配信のいいところですよね?

*3:何故か無視している人が多いけれど。気付いてないだけなのかな?

*4:紙媒体ではそうしてます――大判にしてみたり、カラーにしてみたり、装丁を豪華にしてみたり。まあいろいろと方法はあります。

*5:ちなみに僕は「安ければ」なんて言ってる連中が電子ブック端末に手を出すとは思ってないです。理由はこちら

2010-01-09(Sat)

電子ブックと紙媒体の収益を考えてみる。

|  電子ブックと紙媒体の収益を考えてみる。 - 浅倉卓司@blog風味? を含むブックマーク  電子ブックと紙媒体の収益を考えてみる。 - 浅倉卓司@blog風味? のブックマークコメント

 前回をベースに定価を1000円とし、初版5000部の場合を考えてみよう。

 実際には3000部売れて2000部返本(在庫)になると仮定すると、

  • 書店 60万円(200円×3000部)
  • 取次 30万円(100円×3000部)
  • 出版社 210万円(700円×3000部)

――になりますが、印税と印刷費として

  • 著者印税 50万円(100円×5000部)
  • 印刷費 50万円(100円×5000部)

――が支払われますから、出版社に残るのは

  • 210万円-50万円-50万円=110万円

――になります。


 電子ブックの販売価格が700円で同じく3000部販売した場合、

  • 配信元 63万円(210円×3000部)
  • 出版社 147万(490円×3000部)

――となり、印税として

  • 著者印税 30万円(100円×3000部)

――が支払われますから、出版社に残るのは

  • 147万円-30万円=117万円

――になります。

 この場合で比較すると出版社は+7万円になりますね。……出版社儲けすぎ?


 ここで増刷がかかった場合のことを考えてみます。初刷が完売したので5000部増刷して3000部売れて、やっぱり2000部の在庫があると仮定してみましょう。

 この場合は

  • 出版社 560万円(700円×8000部)
  • 著者印税 100万円(100円×10000部)
  • 印刷費 100万円(100円×10000部)

――になりますから、差し引くと

  • 360万円

――になります。

 電子ブックの場合は

  • 出版社 392万円(490円×8000部)
  • 著者印税 80万円(100円×8000部)

――になりますから、差し引くと

  • 312万円

――になります。

 この場合は、出版社は-48万円になります。結構大きなマイナスですね。

 とはいえ、刊行したものが全部増刷されるわけではありません。5点刊行し、1点増刷されたと考えると、

  • 紙媒体 360万円×1点+110万円×4点=800万円
  • 電子ブック 312万円×1点+117万円×4点=780万円

――になります*1

 これくらいなら在庫コスト分で相殺できると判断するかもしれないですね*2


 電子ブック化で卸値を下げるというのは、要するに「売れなかった場合のリスクは減るが、売れた場合の利益も減る」ということです。

 出版社は一般に「売れてる作品で売れてない作品をカバーしてる」と言われてますから、売れてる作品の収入が落ちるのは、たぶん困ります。このあたりは売れてる本と売れていない本の比率がどれくらいなのか、モデルによって採算分岐点は変わってくるとは思いますけれど。


 ところで倉庫代などは出版社にとっては固定費ですから、既存の出版社としてはあまり削れません。

(出版社が倉庫なのは発行点数が多いからです。1冊あたりのコストはそれほど大きくはありません)

 それ以外にも資金繰りのことやら既刊の返本について考えると、電子書籍出版社を独立して作ったほうがよいとは思いますけどね。

 ……ただ、どこかが参入するって話を聞かないですけれど。なんででしょ?

*1:1点あたりだと-4万円。

*2:逆に「この卸値じゃやっぱダメだ。もう少し値上げしないといけない」と判断するかもしれないけど。

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2010-01-08(Fri)

電子ブックの売り方を考えてみたよ。

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 そもそも日本で電子ブックが盛り上がらないのは、紙媒体に対して競争力がないからだと思ってます。

 日本の出版物は価格の安さや書店の多さ(それを支える流通の整備)という入手容易性について非常に競争力が高いのであって*1、入手容易性の低いアメリカなどと同じような展開にはおそらくならないでしょう*2


 そんなわけで、僕は紙媒体をそのまま電子ブックにしてもダメじゃないの? と思ってるし、ちゃんと別の価値を付けて売ればいいじゃんと思ってるので、「売れる電子ブックはこれだ!」ってのを考えてみた。


グインサーガ〈全1巻〉

 『グインサーガ』を1冊の電子ブックにまとめて「個人が書いた最長の物語」としてギネスブックに申請しましょう(分冊だと断られたらしいのでリベンジです)。

 ――電子ブック=省スペースなのであれば、まずはこれを出すべきでしょう。確実な販売数も見込めますし。

 ついでに、グインモデルの電子ブックリーダーも販売するといいんじゃないかな。

 僕が配信元なら迷わずこの企画をもって早川書房にお願いに行きます。


筒井康隆全集 ※新作は無償で追加されます

 新作が書かれているうちに「全集」は出しにくいけれど、電子ブックならちゃんと更新されるんだぜ、という電子ブックならではのコンテンツ。

 新作が発表される毎に追加されるんであれば、割高感よりオトク感がありますしね。

 そしてこんな酔狂なネタに賛同してくれる作家&ファンといえば筒井康隆に違いない――というわけでこの選択になってます。


――という感じのものが欲しいかな。

 僕が電子ブックを買うとしたら「シリーズ物をセット化したもの」なので、上記のようなものを挙げてみました。

(ちなみに新作は貸し借りするので、基本的には紙媒体しか買わないと思います)

 要するに「昔の文庫」の発展系としての電子ブックです*3

 日本の出版物はシリーズ物が多いですし、電子ブックの省スペース性を売りにするなら単品で売るよりもセット販売のほうがメリットが分かりやすい。さらにセット販売にすることで、出版社的には価格を引き下げても利益を出しやすいし、読者はトータルでは安価で買えるようになるという点でも良いと思うのですけれどね*4

 具体名を挙げると『藤子・F・不二雄大全集』は電子ブック版が欲しいです*5――漫画に適した電子ブックリーダーが出たら、ですが。


 「先払いで自動更新してくれる」なら、『星界の戦旗』が5000円くらいなら先払いしちゃうんだけど。いちおうあと4~5巻で完結の予想でこの価格だけど、2巻くらいで完結しちゃってもいいですから*6

 ――電子ブックを個人で出版するならこういう形で「先払い」してもらわないと厳しいかもね、なんて個人的には思ってます。ま、一種の投資ですな。

*1:加えて新古書店がありますからね……。

*2:電子ブック関連の記事を読むと、どうもそこに競争力があると思ってる人が多そうに見える。

*3:詳しくは「文庫本の歴史」をどうぞ。

*4:値段だけが売りだと新古書店に負けるだろうしね。

*5:小学館ならほっといてもそのうち出すだろうけど。紙媒体のが全巻揃うのっていつ頃なんだっけ?

*6:それにしても、なんで続刊が出ないのかね……。

2010-01-07(Thu)

電子ブックで何故か語られない話。

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 電子出版の話は何故か「率」の話ばかりしていろいろ誤解を与えている気がするので、これをちゃんと実売で考えてみよう。


 本田雅一さんの記事を元にすると、紙媒体で定価1000円の本は

  • 書店 200円
  • 取次 100円
  • 印刷費 100円
  • 出版社 600円
    • うち、著者印税 100円

――になります。

 同じ書籍を電子媒体として売る場合、記事では「配信元・出版社が3:7で」という話が書かれていて、

  • 配信元 300円
  • 出版社 600円
    • うち、著者印税 100円

――という形になりそうに見えるけれど、実際には電子媒体は紙媒体に比べて値下げしないと売れないため、実際の販売価格は800円程度になるんじゃないだろうか(それでも「高い!」と文句を言われる予感がするけれど)。

 この場合の売り上げの分配は

  • 配信元 240円
  • 出版社 560円
    • 著者印税 100円? ――その場合の印税率は12.5%

――になるわけで、実際には紙媒体より出版社の取り分は減っているわけです。


 それどころか配信元から「もっと販売価格を下げて欲しい」という要望がある可能性もあり、例えば700円で販売する場合は

  • 配信元 210円
  • 出版社 490円
    • 著者印税 100円?(印税率は約14%)

――と、紙媒体より大幅に少ない金額しか出版社に入らない可能性だってあるわけだ*1

 その辺を明らかにせずに記事に「率」だけで書くのはいかがなものかと思うわけです(本田さんに限らないですけどね)。


 ちなみに文庫を基準にした場合は上記ほど値下げできず、紙媒体の6掛けで卸すんじゃないのかな? と予想してます。そもそも文庫は安売りしてるわけですから。

(500円の文庫なら出版社の取り分は300円で、それを3:7で計算すると430円での配信になるのかな)


(追記)販売数と収益についても考察しました。



著者印税の話

 ところで、現在は印刷部数に対して著者印税が支払われていますが、電子媒体になると半年(あるいは四半期)ごとに締めて支払われるはずなんですよね*2。とすると、著者にとっては結構困ったことになるわけです。

 上記の書籍の初版が5000部なら、発売日の翌月~翌々月くらいに50万円の印税が収入になるわけですが、これが電子媒体だと発売の数ヶ月後になるわけです。

 さらにそれまでに5000部を売り切っているとは限らないので、収入も低くなる可能性が高いんじゃないですかね。


 最初のうちは紙媒体と併売にするでしょうからいきなり著者の収入が遅くなったり低くなったりはしないでしょうけど、将来的に電子媒体がメインになれば上記のような事は充分起こりうるわけです。その時に著者に対して出版社がどのように対処するのか、ちょっと気になるところではあります。


 そんな感じで、出版社を縛ってるのは流通だけでなく著者との関係をどうするのかってのもあるわけですよ――電子ブックの話では何故かみんな無視してますけどね。


文庫落ちの前に電子ブック落ちすればいいのに

 電子ブックをソフトランディングさせる手っ取り早い方法は、ベストセラーの単行本を文庫落ちさせる前に文庫と同等の値段で電子ブックを販売することでしょう。そうすりゃ安価な文庫と比較されずに済みますからね。

 タイミング的に『1Q84』あたりは文庫落ちする前に電子ブック落ちするんじゃないかと予想してるところですが、どうでしょうか。


 あるいは、文庫落ちさせるほど売れなかった本を電子ブックで配信してみるという手もあるわけですが……管理費がかかるから既存の出版社的には嬉しくないのでやらないかもしれない。

 その場合は昔の文庫のように専門の出版社を立ち上げて、売れ行きが落ちた(最初に出版してから時間の経過した)単行本を集めて「●●電子文庫」とかやればいいんじゃないの? とか思いますけどね。

(とはいえ、全く新規に立ち上げるんだと、著者との関係を築くのが難しい気はしますけれど)


追記(2009-01-09)

 出版社としては卸値500円あたりに拘っていて、率には拘っていないんじゃないか――というお話です。

 だからAmazonが7:3で売りたいのなら、Amazonは1600円で売ればいいだろう、と(それなら出版社に入るお金は変わらないので)。*35:5なら紙媒体と同じ価格で売ればいい。

 ただその価格だと売れない(と判断してる)でしょうから、それで揉めてるんじゃないでしょうかね。


 とはいえ、単行本なら文庫くらいの価格にはできておそらくはそこが下限だろうから、だったら文庫にする前に電子ブックで売ればいいじゃん、ってのが「文庫落ちの前に電子ブック落ちすればいいのに」と思った理由です。ただし、それ以上はほとんど値下げできないから、文庫本に対する価格競争力は期待できないでしょう。

 ちなみに僕は電子ブックとして売るなら付加価値をつければいいじゃん派ですので、そもそも紙媒体をそのまま電子ブックにするのには懐疑的です。


 あと、既存の出版社にとって問題なのは前にも書いたけど資金繰りだと思ってます。

(著者への支払いタイミングも変わるけど、出版社に入金されるタイミングも変わるわけだ)

 「出版社が倉庫」なら「取次は金貸し(銀行)」なわけですよ。これもあんまり語られていないけど。

*1:印税を10%に据え置く可能性もあるけど、それでも出版社の取り分は減っている。

*2:知り合いはそうだったらしい。

*3本田さんの誤報だそうです。

itochanitochan2010/01/08 20:51はじめまして。
わからない点があったので質問していきます。

[quote]
 6割の中には著者の印税、編集、宣伝などのコストが含まれるが、目に見え辛いリスクも含めるともっとも大きなファクターは在庫を持つコストだという。“出版業は倉庫業”という人も多いが、6割と大きな取り分を主張する出版業者には、主張するだけのリスクを取ってきていたのだ。
(中略)
 日本での電子ブック事業に詳しい関係者に取材してみると、電子ブック化に際して日本の大手出版社は、売り上げ全体の7割を自分達が取りたいと主張しているようだ。つまり印刷コスト分は自分たちの取り分に組み込み、取り次ぎ分は流通コストの一部として電子ブック販売ポータルに渡す計算となる。
[/quote]
印刷しないから在庫しないから電子書籍なんですよね?

元の、印刷(100円)は0円になって、在庫(600円のうちの一部)も消えて、
電子書籍化すればその分だけ自動的に安くなるだろうと思っていたので、率でどうこうの話に落とされるのが理解できません。
たとえば(勝手な憶測ですが)出版社の倉庫在庫の費用が仮200円なら、

・配信元 300円(書店200円+取次ぎ100円)
・出版社 400円 (出版社 600円-倉庫(仮)200円)
  うち、著者印税 100円

で、合計700円(仮)程度のところから話がスタートすると思っていました。

あともう一点。
[quote]
 上記の書籍の初版が5000部なら、発売日の翌月~翌々月くらいに50万円の印税が収入になるわけですが、これが電子媒体だと発売の数ヶ月後になるわけです。

 さらにそれまでに5000部を売り切っているとは限らないので、収入も低くなる可能性が高いんじゃないですかね。
[/quote]
電子書籍にも「初版xx部」というようなことがあるのですか?
せっかくのIT化なのに、著作者への支払いがより遅くなるということ自体が不思議でなりません。

asakura-tasakura-t2010/01/08 22:00 前半については、印刷しなくても固定費が存在するからです。
(ちなみに、倉庫代はそんなにはかかりませんというか、なんでそんなにかかると思っているのか不思議です)

 後半については、紙媒体の出版では一般に書籍が売れなくても印税を著者に支払っている=先払いしているのです。それが電子媒体になると実際に販売された数に応じた支払い=後払いになるので、当然著者への支払いは遅くなります。
(また実売以上に印税を支払っていますので、実売を元にした印税率は10%より高くなります)

rocksrocks2010/01/08 23:17在庫リスクを小さく見積もりすぎています。まず、物理的な書籍は売れない場合、凄まじい容積になります。これは実際に出版社にいたことがある人なら実感できるのですが。
また、掛かる費用は倉庫に置いておく直接費用だけではありません。本田氏も書いているように、出版業でもっとも大きな経費は在庫関連です。対して電子ブックならば、出版社の負担は事務経費と編集にかかる直接経費、それに宣伝費ぐらいで済みますね。

itochanitochan2010/01/09 00:11回答ありがとうございました。
前半の倉庫費用の話は元記事からもってきているだけなので実情はどちらなのか存じません。両方の意見があれば、(何かの違いで)両方の事例があるのだろうと推測するしかできません。
後半は商慣習の違いとのことで、よくわかりました。
ありがとうございました。

packpack2010/01/09 00:36本田雅一さんの記事では「配信元:出版社が3:7」って言ってるのは出版社で、amazonは7:3を要求してるのではないですか?
つまり、本田さんは出版社側の1冊あたりの収益は減るということを前提にした上で今後出版業界がどう出るか問題提起してるのではないでしょうか?
最後の段落以外はこの記事で主張されていることがちょっとわかりづらいです。

asakura-tasakura-t2010/01/09 10:21 在庫リスクですが――あとでちょっと計算してみます。
 ただ、倉庫が巨大なのは出版点数が多いからで、個々の書籍の在庫が多いからではないように思います。
(出版社の経理には詳しくないので、実際に在庫管理の費用がこれくらいかかっているという資料がありましたらご教示いただければと)

asakura-tasakura-t2010/01/09 10:44 主張が分かりにくいのはすみません。
 「出版社は割合よりも卸値(記事の例なら500円)に拘ってるんじゃないのかな?」ってことです。だからAmazonが7:3で売りたいのなら、Amazonは1600円で売ればいいだろう、と(それなら出版社に入るお金は変わらないので)。5:5なら紙媒体と同じ価格で売ればいい。
 ただその価格だと売れないでしょうから、それで揉めてるんじゃないでしょうかね。

 出版社の収益が減るだろうというのは間違いないですが、その時にどこまでなら出版社が問題ないと判断するかであって、それは紙媒体の定価の5割くらいじゃないか――というのが僕の予想です。
(あとで記事の方にも追記しておきます)

hauhau2010/01/09 21:55CD等など、初月分だけ翌月に支払い、以降は半期(または四半期)という契約もありますよ。

asakura-tasakura-t2010/01/10 11:08今後はそういう契約になるかもしれませんね。でも、印刷分を印税として支払われるよりは「遅くなって減る」のは間違いないでしょう。

森田慶子森田慶子2010/01/10 21:07印刷物でも、実用書、特にパソコン系の書籍は「実売印税」が多いですけどね。

asakura-tasakura-t2010/01/10 23:18なるほど。であれば、そういうところで著作を出してる人は電子ブックでの印税の支払いに違和感がないかもしれませんね。

hylomhylom2010/01/11 03:49「在庫を持つリスク」というのは、単純に「倉庫代」だけではありません。たとえば、1000円の書籍を1万部刷ったとして、すべて売れれば確かに600×1万=600万円が出版社に入りますが、もし5000部しか売れなければ、売り上げの600×5000=300万円から、売れなかった分の印刷代100×5000=50万円を引いた250万円しか入りません。さらに必要経費もあります。もしこの書籍を売るのに、広告・宣伝・編集/デザイン費・人件費などで出版社側がたとえば300万円使っていたとしたら、5000部しか売れなかった場合は50万円の赤字です。

書籍を作るには著者だけでなく、編集者や校閲者、レイアウトを行うデザイナー、書店に売り込む営業さんなど多くの人が関わっているので、そこら辺のコストを考えると安易に安売りできない、というのが出版社側の考えだと思います。また、既刊書籍の電子化ならこれらのコストは低く抑えられますが、そうすると今度は(着うたの隆盛で売れなくなったCDのように)書籍の買い控えが起きるのではないかという懸念もあります。

asakura-tasakura-t2010/01/11 09:30 在庫リスクについてはこちらで書いていますので、よろしければどうぞ。
http://asakura.g.hatena.ne.jp/asakura-t/20100109/ebook
 出版社側の考え、というのはその通りです(そういう前提で書いてますから)。

 ただ、安売りすればバカ売れするとは僕は思っていません(文庫本は充分に安いので)。
 読者としてはどのような電子ブックを欲しいかについては、
http://asakura.g.hatena.ne.jp/asakura-t/20100108/ebook
で書いています。

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