2010-04-30(Fri)
電子ブック関連の雑感(2010年4月期)
出版 |
ようやく今更のようにケータイでの電子書籍について書かれた記事が2つほど出てきていた。
不思議なことにどちらも論調は似ていて、「女性向けのエロ漫画が主流」という話が書かれている。
似たような噂話は以前から聞いていたけれど、それが本当なのかデータで確認した人はいるのだろうか? 少なくともどちらの記事でも「女性向けのエロ漫画」の売上金額は全く書かれていませんし。
これってただの都市伝説じゃないの?って気がするのだけれど、もしこれを証明するデータがあるのであれば教えて欲しいと思っています。
ちなみに昔僕が聞いたのは「書店の売上と比べると女性向けのエロ漫画の売上比率が大きい」という話だったような気がします。
(そもそも書店では女性向けのエロ漫画はそんなに売れていないらしいですし)
これがどんどん尾ヒレが付いて今の都市伝説になったんじゃないかという気がしているのですが……。
ともあれ、400億円の売上のほとんどがそういうエロ漫画だと信じているのだろうか? エロ漫画だけでそんなに市場規模があるんだとすればそれはそれで凄いなー、という気はしますけれど。
(雑誌含めて漫画全体が5000億円くらいでしたから、その8%に相当するんであれば、「紙媒体のエロ漫画より売れてるんじゃね?」とか、「作品数が少ないので、作家さんは滅茶苦茶儲かってるんじゃね?」って気がするのですが……。どこかにそういう噂はないのかな?)
エロ漫画といえば。
「非実在青少年」がどうのこうので今更のように東京都の条例が話題になっていて、せっかくなので今の条例の運用状況を知って欲しいと思いましたけれど。
僕の勘違いでなければ、
- 成年マークが付くエロ漫画(主にA5判で1,000円くらいで売られているもの)
- 成年マークが付かないエロ漫画(主にB6判で600円くらいで売られているもの)
――という2種類のエロ漫画があるのですが、どうも一般的には「成年マークが付かないエロ漫画」というカテゴリーが見過ごされている気がしました。
そんでもって「現在成年マークが付いていないエロ漫画の一部がちょっと過激なので、そちらにも成年マークが付くようにしよう」という発想があって条例改正に動いたんじゃないのかな、という気がしています。
(だとすれば、恣意的な運用を避けるために改正に動いたのでしょう)
――という前振りで。
ケータイ向けのエロ漫画ですが、これは基本的に「成年マークが付かないもの」のはずです。
(成年マークが付くようなものはキャリアの審査が通らない――という噂ですから)
だからもし、「ケータイで売られているエロ漫画」と聞いて「成年マークが付いているエロ漫画」を想像してるのであれば、それは改めたほうがよい気がします。
あー、件の都条例が改正案のようになれば、一部の「成年マークの付かない過激なエロ漫画」はケータイで配信されなくなるかもしれないから、それで売れ行きが大幅に減少すれば「そういう作品が売上の多くを占めていた」という状況証拠にはなるかもね。
話変わって。
「電子出版は流通革命だ!」とか言われてるけど、Kindleのように電波で配信してその費用を販売価格に含めようとすると、文芸書以外は既存流通よりコスト高になりそうな雰囲気ですよね。
漫画の単行本をまともな画質で作った場合のファイルサイズと、それを携帯等でパケット通信した場合の値段*1がどれくらいになるのか気になるところです。
(印刷したほうが安いじゃん! ってなことになっても驚かないけど)
――的なことを書こうと思っていたら5月も随分過ぎてしまったので、ぐだぐだですがメモ的にアップしておきます。
(特に都条例に関してはもうちょっと調べてから書きたかった。間違ってたらご指摘を)
それにしても「ぼくがかんがえたでんししょせき」という他人に説明できない未定義の何か以外認めず、既存の方々がやっている事を片っ端からバカにしている人は、いったい何を考えているんだろうか。
「セミナーで儲けるんだ!」と思っているならともかく、無自覚に「俺が正義を代弁する!」とか思ってるんだとするとちょっとイヤだなあ。
(電子書籍に限らず最近の言動はそんな感じがするし)
素朴な正義感による行動って、ろくなもんじゃない。
*1:どういう契約になるのか分からないけど、一番安いパケット単価でいいんじゃないかな。――もちろん定額じゃないよ。
2010-04-13(Tue)
世界の出版市場規模について
出版 | |
(旧題「ちゃんとした資料にあたらないとダメですなぁ。」)
どこかで「アメリカの出版市場は70億ドル」的な記述を見かけて*1それを信じて一部でコメントなどをしていたわけですが、d:id:mohnoさんの「新・都市伝説リスト」に
47newsの記事には、「書籍全体の売上は約238億5600万ドルだった」とあるので、これは2兆円と言われる日本の出版市場規模(新聞は含まない)と同程度であり、必ずしもGDP比を持ち出すことは適切ではないのだが、それでもなお、売上げ実績という面からみれば電子書籍の開拓が遅れているのは米国の方である。
――とあって慌てて確認してみたところ、やっぱり僕の勘違いでした(万が一コメントを読んで信じた人がいましたらすみません)。
財団法人デジタルコンテンツ協会の2008年度の調査報告によると
no title
国名 書籍 雑誌 日本 9,026億円 11,827億円 アメリカ 29,500億円 11,761億円 カナダ 1,646億円 -- イギリス 6,799億円 4,953億円 フランス 4,284億円 9,333億円 ドイツ 14,736億円 --
――という感じらしいです*2。
(これによるとd:id:mohnoさんの「これは2兆円と言われる日本の出版市場規模(新聞は含まない)と同程度」という指摘は間違っている気がします*3)
それにしても書籍と雑誌比率の違いは本当に各国で違うんですねぇ。これを見るだけでも各国で電子出版の事情が相当違うだろうなという気がしますね*4。
ちなみに2008年度の調査(PDF)にはコミケ(および同人誌)についてもやたら詳しく書かれていたり、他にも面白いネタが沢山あるみたいでした(多すぎて読めてません……)。
2010-04-05(Mon)
Oracleはイマイチよく分からない。
Oracle |
FreeBSDのportsにあるOracle8のクライアントはphp-oci8/php-pdo_ociでcoreを吐いたり、あるいはAmd64にはインストールできないみたいなので、OSはLinuxにすることにする。
LinuxはとりあえずRHEL互換のCentOSにしたけど、Oracle Unbreakable LinuxとかMiracle Linuxとかにしたほうがいいのかもしれない。
RPMでPHPやPerlのクライアントを簡単にインストールできるかと思ったけど、どうやらそうでもないのでメモしておく:
- Oracleインスタントクライアント
- インスタントクライアントをインストールするrpmを作るrpm
- http://rpm.pbone.net/index.php3/stat/4/idpl/12103645/dir/redhat_el_5/com/oracle-instantclient-10.2.0.3-1.nosrc.rpm.html
- 後述のrpmをインストールするのに必要。ldconfigの設定を変えるので、LD_LIBRARY_PATHは不要になる。
- インスタンクライアントのバージョンは10.2.0.3
- PerlとPHPのクライアント
- PHPのPDOが必要な場合は、remiリポジトリのPHPを利用するのが簡単
追記(2010-04-06)
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日本の2兆円というのは「書籍+雑誌」で言われている数字なので、それほど外れてなさそうです。“新聞”がこれに含まれないということです。むしろ、米国の「書籍全体」が書籍だけということですね。book と magazine は別物ですものね。書籍は GDP くらいの違いがあり、雑誌が比較的大きいのは、やはりコミックなんでしょうね:-)
漫画雑誌の市場規模は2,421億円だったかな(2005年)。雑誌市場の2割くらいなので、そんなに大きくない気もします(そうでもない?)。ちなみに漫画雑誌は広告が少ないので「雑誌全体の市場規模=売上+広告」だとすると、漫画雑誌の比率はさらに下がりそうです。
そうそう、雑誌については(新聞と同様に)広告の金額についても考慮する必要があるのだけれど、その辺を絡めた論考はあまり見かけませんよね……。
> 「書籍+雑誌」
おっと、そこは、おっしゃるとおりですね。(エントリ修正してます)
漫画は意外に少ないのですね。雑誌もニュース系はウェブで展開していたりとか、ファッション系は電子化ニーズは厳しいだろうなあとか色々なので、細かく分析すべきところではありますね。
まあ、リアルの本屋を見渡してみても、そのまま電子化するだけでは需要なさそうな感じのものが大半なんですよねぇ。やはり音楽と違って、もとからプレーヤーが要らないってのが大きいですかね。