2009-06-19(Fri)
梅田望夫さんに訊ねてみたいこと。
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日本にはオープンソース的活動が根付いていないと言われていたので、下記の点が気になりました:
- 日本の「オープンソース的」プロジェクトとしては「青空文庫」がありますが、知っていますか?
- 同じく翻訳プロジェクトとしては「プロジェクト杉田玄白」がありますが、知っていますか?
- また、経済学者のクルーグマン教授の論説はよく翻訳されていますが、知っていますか?
- 『CONTENT'S FUTURE』はCCライセンスですが、
- CCライセンスについて知っていますか?
- 「翻訳自由」より幅広く利用できることをどう思いますか?
- 上記活動は全て「サブカルチャーの領域」だと思われていますか?
- 上記活動についてどのような評価をなされていますか?
――もしよろしければ、お答えいただければ幸いです>d:id:umedamochioさん
(上記活動についてはたまたま僕が知っていただけのものですので、世の中にはもっと沢山の活動があるのではないかと思っています)
ちなみに政治的な話題についても、わりと経済学者の方はウェブ上で建設的な意見を交換しているように感じます(僕がたまたま見かけた範囲では)。
なんでこれらを梅田望夫さんに訊ねたいのかというと、
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僕は「オープンソース的」な活動は日本でもそれなりにあると認識してるので、いったいどこに梅田さんとの相違があるのか気になったのです。
仮説として
- 梅田さんと僕の認識の範囲が違う(たまたま梅田さんが日本の「オープンソース的」活動を知らない)
- 認識の仕方が違う(梅田さんは日本の「オープンソース的」活動が全て「サブカルチャーの領域」に見えている)
- 梅田さんが「オープンソース的」活動に求めている理想があって、それ以外は「オープンソース的」活動とは認めていない
- その場合は理想とする「オープンソース的」活動を具体的に説明すべき、だとは思うけど。
――のいずれかなのではないかな、と思ったんですね。
ご本人が自覚しているかどうかも分かりませんでしたので、そのへんがはっきりする質問を考えてみたわけです。
どこで認識のズレが生じているのかを知るのは梅田さんにとっても有益だと思いますので――そうすれば梅田さんの発言に反発している人々が何に対して反発しているのか分かりますし――どこかで説明して欲しいなと思っています。
その時は別に僕の質問に回答しなくても構いませんので。
ちなみに
おそらく梅田さんは認めないと思うのですが、いわゆる電突(電話突撃)も「オープンソース的」な社会活動だと思っていますし、他にも個人的な領域では割とたくさんの活動がなされています。
学術的な事についても、少なくとも経済学関系についてはあちこちで活動がなされてますし(これは個人的に興味があるからたまたま知っているわけですけれど)。
ウェブが「残念」なのは、個人の興味のある事柄以外のことを知る方法が弱くて、どんどんタコツボ化している事じゃないでしょうかね。
(梅田さんもタコツボに籠もっているという意味では「残念」だと思います)
これは以前から言われている事ですし、日本だけの事でもないですけれど。
2009-06-13(Sat)
梅田望夫さんに『世間さまが許さない!』を薦めたけれど、内容に全て賛同しているわけではないのです。
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というわけで、『世間さまが許さない!』(岡本薫/ちくま新書)を読みながら気になった点のメモ:
第1章 本当に日本人がダメなのか
- 日本(日本人)が外国――特に欧米――を無理に真似する必要はないと思う。
- ただ、ヨソのいいとこを真似するのはそれはそれで日本的ではあると思うので、「真似するな」とも思わない。特に欧米と違って「あらゆる外国のことを気にする」のは日本くらいだと思うし。
- 欧米は欧米しか見てないしね。
- 日本人が基本的に「ルールよりモラル」で物事を判断/評価しているってのは説得力がある。
- ただ、欧米も最後は「キリスト教的モラル」なんじゃないのかな? って気はするんだけれど。
- その意味で「同じモラルを前提としている」のは、日本も欧米も変わらない。
- ルールとモラルが食い違っているときに
- ルールを変えるのが欧米
- ルールを変えずに「世間の空気」を変えるのが日本
- ――なのかもしれない、とは思う。
- 日本がルールを変えないのは、ルールを変えるためのコストがやたら高いから
- cf.憲法改正にまつわるいろいろ
- というか、日本は無駄に器用なので(所与のルールでなんとかするのが得意なので)、ルールを変えてなんとかしようという発想が薄いのでは?
- 欧米がルールを変えても、それならそれで対応しちゃうというか。
- そういえば、日本がルールを変えようと思わないのは「自然が過酷であり、それに適応して生きてきたから」みたいなことを養老孟司が言っていたような気がする。
- 自然環境を変えるのが欧米、自然環境に合わせるのが日本、みたいな。
第2章 何でもモラルで考える「日本的モラリズム」という文化
- 「システムの問題」を「モラルの問題」にしてしまう、というのは確かによく見かける光景だし、その点に関してはイヤだなと思う。
- 「がんばる」「気をつける」とかありえんだろ、みたいな。
- 同じように「コストの問題」も「モラルの問題」にされちゃうのがイヤだ。
- そのコストではどうにもならないちゅうねん。
- そういうときに「がんばる」「気をつける」で済むのはありがたいとは言えるけど。まあ改善はされんよな。
- 問題を解決するためのコストを出さないんだから。
- 「国益を明示しない」のと「ポジショントークを嫌う」のは同根なのかねぇ。
第3章 「日本的モラリズム」がもたらす「自由主義と民主主義」の機能不全
- 「内心の自由」が認められていない、というのはよく感じる。
- おかげさまで子供のころからいろいろ揉めてたので……。
- そういやアナウンスなどで「ご理解とご協力」とか言うのもこのせいか。聞くたびに「協力はするけど、理解はできん」とか思う(そもそも理解するための説明をしないし)。
- 「責任」が分からないのは「自由」を知らないから、ってのには説得力がある。
- 自由に発言して炎上したときに相手のせいにしてみたりね。
- 自分の「自由」と他人の「自由」は対立するわけだけど、対立した時の対処方法を知らないというか。
- 政府(行政)に何かを訴えるのは、それが正義(世間さまのモラル)だと思ってるからじゃなくて、互いの正義を仲裁するのが政府だと思っているからなのかもしれない。
- 「心をひとつに」とか「同じ気持ちで」みたいな標語で行動するのは個人的にはイヤ。
- 同じ理由で「心」とか「気持ち」とかを全面に出している意見や議論は相手にしない。
2009-06-01(Mon)
梅田望夫は『世間さまが許さない!』(岡本薫/ちくま新書)を読むべきだ。
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d:id:umedamochioさんには是非とも『世間さまが許さない!』(岡本薫/ちくま新書)を読んで欲しいと思いました。お金を出したくないのならちくまの担当に言えば献本してくれるでしょうし、長文を読みたくないなら第1章だけでも構いませんので、是非に。
もしお読みいただければこの辺(や、あちこち)で発言されているウェブの日米比較がいかに無駄なことなのか分かっていただけると思います。
(無駄であることを自覚されて発言されているならともかく、そうじゃないみたいですし)
ちなみに。この本に書かれている通りの発言をしていることから察するに、梅田さんは典型的な日本的感性の持ち主なんだと思いました。
(だから自分の思うようなネット社会になっていないのを愚痴ってるわけです)
そういえば昔は
結構梅田さんのことをチェックしてたんだなー、とか思って昔のエントリーを眺めてて今でも引っかかったのはこのあたり:
- 場と名前と役割と(2005-05-03)
- まじめな議論をしたいならそういう場を作れよ、と思った。アゴラはそういう場になるんでしょうかね?
- 「はてな」という「お坊ちゃん」な会社(2005-09-05)
- 今でも「お坊ちゃんだなぁ」と思う。もちろん梅田さんもね。
- 表現したくない人のためのWeb2.0(2006-03-03)
- 結局こういう方向には行きませんでしたな。
- 梅田望夫の推薦図書を読む暇があったら『アーキテクチャの生態系』を読むべきだ。(2008-11-11)
- 『アーキテクチャの生態系
』(濱野智史/NTT出版)はいい本だと思うんだけどなぁ。読まれてなさげなのが残念。
- 『アーキテクチャの生態系
- 梅田望夫さんはいつから2ちゃんねるを避けるようになったんだろ。(2008-11-19)
- 昔は梅田さんも2ちゃんねるを評価していたという意外な事実を知ってびっくり、みたいな。その後キライになったのは、やっぱ叩かれたからなんでしょうかね?
おまけ
直接関係はないけれど、『驕れる白人と闘うための日本近代史』(松原久子/文春文庫)も面白かったです。
最近は「驕れる白人に憧れる日本人」と闘う必要がありそうですが。
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>その意味で「同じモラルを前提としている」のは、日本も欧米も変わらない。
その辺りは本の中でも触れておられますね。
違うのは「宗教によるモラル」は絶対的なものであり、少々の事では揺らがないのに対し、周囲に合わせるという「日本的モラリズム」は、相対的なものであり、分裂しやすいものである。「日本的モラリズム」と「自由と民主主義」の相性が悪いと言う事なのでしょうね。
非キリスト教の移民を大量に受け入れているアメリカが、将来において「モラルが分裂するのではないか」との指摘は、さすがに岡本薫だけはあるなと思いました。
(だから狭い範囲なら今でも上手く機能してるというか)